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審美治療

審美歯科・セラミック治療

審美歯科・セラミック治療

歯科治療において、機能の回復と見た目の改善を両立させる治療法として「審美歯科治療」があります。

その中でも特に注目されているのが、セラミック素材を用いた治療です。セラミックは陶器と同じ材料で作られた歯科用素材であり、天然の歯に近い色調と強度を持つことから、現代の歯科治療において重要な役割を果たしています。

従来の金属を使った治療では、見た目の問題や金属アレルギーのリスクがありました。しかし、セラミック治療の発展により、これらの課題を解決しながら、長期的に安定した治療結果を得ることが可能になっています。

セラミック素材が持つ
生体適合性と審美性

セラミック素材が持つ生体適合性と審美性

セラミックの物理的・化学的特性

セラミックは「生体適合性」が非常に高い素材です。生体適合性とは、体内や口腔内に入れても拒絶反応やアレルギー反応を起こしにくい性質のことを指します。金属の詰め物や被せ物では、唾液によって微量の金属イオンが溶け出し、これが歯茎の変色や金属アレルギーの原因となることがあります。

一方、セラミックは化学的に非常に安定した素材であり、唾液や食べ物の酸に対しても変質しません。また、セラミックの表面は非常に滑らかで、細菌や色素が付着しにくい特徴があります。

歯の表面に細菌が付着すると「バイオフィルム」と呼ばれる細菌の膜が形成され、これが虫歯や歯周病の原因となります。セラミックの滑らかな表面はバイオフィルムの形成を抑制するため、治療後の衛生管理がしやすく、長期的な口腔内の健康維持に貢献します。

天然歯に近い光学的特性

セラミックが審美的に優れている理由は、その「光透過性」にあります。天然の歯は光を適度に透過させる性質を持っており、これが自然な透明感と立体感を生み出しています。

金属やプラスチック素材では光を透過させないため、どうしても人工的な印象を与えてしまいます。現代のセラミック素材は、天然歯のエナメル質と象牙質の光透過性を再現できるように開発されています。

さらに、患者さん一人ひとりの歯の色調に合わせて、複数の色のセラミックを層状に重ねることで、周囲の歯と区別がつかないほど自然な仕上がりを実現できます。

この技術により、前歯のような目立つ部分の治療でも、治療したことが分からないレベルの審美性を得ることが可能です。

セラミック治療の
種類と適応症例

インレー・アンレー(詰め物)

インレー・アンレー(詰め物)

虫歯治療で歯を削った後、その部分を補う詰め物を「インレー」と呼びます。比較的小さな虫歯の治療に適しており、歯の噛む面の一部を覆う形で装着します。

虫歯がやや大きく、歯の一部の角(咬頭)を含めて覆う必要がある場合は「アンレー」と呼ばれる、より広い範囲をカバーする詰め物を使用します。

セラミックインレーの利点は、精密な適合性にあります。歯とセラミックの間に隙間があると、そこから細菌が侵入して二次的な虫歯(二次カリエス)を引き起こします。

セラミックは型取りから製作までの過程で精度を高く保つことができ、さらに専用の接着剤で化学的に歯と結合させるため、隙間のない密閉性の高い治療が実現できます。

クラウン(被せ物)

クラウン(被せ物)

虫歯が大きく進行した場合や、歯の神経を取る治療(根管治療)を行った後は、歯全体を覆う「クラウン」という被せ物が必要になります。

神経を取った歯は栄養供給が断たれるため、徐々に脆くなり割れやすくなります。クラウンで歯全体を覆うことで、噛む力を均等に分散させ、歯の破折を防ぐことができます。

セラミッククラウンには、内側まですべてセラミックで作られた「オールセラミック」と、内側に金属の土台を使い外側をセラミックで覆った「メタルボンド」があります。

オールセラミックは金属を使わないため、より自然な透明感が得られ、歯茎の変色も起こりません。

一方、メタルボンドは金属の強度を利用できるため、奥歯など強い力がかかる部分に適している場合があります。

ラミネートベニア

ラミネートベニア

前歯の表面を薄く削り、セラミックの薄い板を貼り付ける治療法を「ラミネートベニア」と呼びます。

歯の表面の変色、軽度の歯並びの乱れ、歯と歯の間の隙間などを改善する際に用いられます。削る量が最小限で済むため、歯への負担が少ない治療法として知られています。

ラミネートベニアの厚さは0.5〜0.7mm程度と非常に薄いですが、現代のセラミック素材は強度が向上しており、適切な接着処理を行えば長期的に安定した状態を維持できます。

ただし、噛み合わせが深い方や、歯ぎしりの習慣がある方には適さない場合があるため、事前の診査診断が重要です。

セラミック治療の
治療プロセスと期間

セラミック治療の治療プロセスと期間

初診から治療計画の立案

セラミック治療を始める前に、まず口腔内全体の診査を行います。虫歯や歯周病の有無、噛み合わせの状態、歯並び、顎関節の機能などを総合的に評価します。レントゲン撮影によって、目に見えない歯の内部や骨の状態も確認します。

これらの情報をもとに、患者さんに最適な治療計画を立案します。セラミック治療を成功させるためには、土台となる歯が健康であることが前提条件です。

虫歯が深い場合は根管治療が必要になることもありますし、歯周病がある場合はまずその治療を優先します。歯周病によって歯を支える骨が減少していると、セラミックを装着しても長期的な安定が得られないためです。このように、必要に応じて前処置を行ってから、セラミック治療に進みます。

形成・型取り・装着のステップ

治療の第一段階は、歯を削って形を整える「形成」です。セラミックを装着するために必要な厚みを確保し、適切な形態に整えます。

形成後は精密な型取りを行います。現在では、口腔内をスキャンする「デジタル印象」という方法も普及しており、従来の型取り材を使う方法よりも正確で、患者さんの不快感も少なくなっています。

型取りしたデータは歯科技工所に送られ、専門の歯科技工士がセラミックの修復物を製作します。製作には通常1〜2週間程度かかります。この間、削った歯を保護するために仮の詰め物や被せ物を装着します。

完成したセラミックは、まず試適を行って形や色、噛み合わせを確認し、問題がなければ専用の接着剤で装着します。

装着後のメンテナンス

セラミックを装着した後も、定期的なメンテナンスが重要です。セラミック自体は虫歯になりませんが、セラミックと天然歯の境界部分は虫歯のリスクがあります。

また、歯周病が進行すると歯茎が下がり、セラミックの根元が露出することもあります。定期検診では、噛み合わせのチェック、クリーニング、セラミックの状態確認を行います。

特に歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方は、セラミックに過度な力がかかって破損するリスクがあるため、必要に応じて夜間に装着する「ナイトガード」というマウスピースの使用をお勧めします。適切なメンテナンスを継続することで、セラミック治療の効果を10年以上維持することも可能です。

治療を受ける前に
知っておくべきこと

保険診療と自費診療の違い

保険診療と自費診療の違い

日本の歯科治療には、健康保険が適用される「保険診療」と、適用されない「自費診療」があります。セラミック治療の多くは自費診療に分類されます。

保険診療では使用できる材料や治療方法に制限があり、金属やプラスチック素材が中心となります。一方、自費診療では最新の材料や技術を選択できるため、より審美性や機能性に優れた治療が可能です。

近年、一部の条件下では保険適用でセラミックに近い白い素材(CAD/CAM冠)が使用できるようになりました。

しかし、適用部位に制限があり、材質も本格的なセラミックとは異なるため、審美性や耐久性には差があります。

治療前に、保険診療と自費診療それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身の希望や予算に合わせて選択することが大切です。

治療のリスクと限界

セラミック治療にはいくつかの注意点があります。まず、セラミックは陶器と同じ素材であるため、極端に強い衝撃が加わると割れる可能性があります。

特に、歯ぎしりや食いしばりが強い方、硬い物を頻繁に噛む習慣がある方は、破損のリスクが高まります。また、セラミックを装着するためには天然の歯を削る必要があります。

削る量はできるだけ少なくするよう配慮しますが、一度削った歯は元に戻せません。そのため、治療の必要性と方法については、十分に説明を受けて納得した上で決定することが重要です。

さらに、重度の歯周病がある場合や、噛み合わせに大きな問題がある場合は、セラミック治療の前にこれらの問題を解決する必要があります。土台が不安定な状態でセラミックを装着しても、長期的な成功は期待できないためです。

よくある質問(Q&A)

Q.セラミック治療は保険が適用されますか?
A.ほとんどのセラミック治療は自費診療となります。
ただし、一部の条件(小臼歯や大臼歯の特定の部位)では、ハイブリッドセラミックに近い「CAD/CAM冠」という白い被せ物が保険適用される場合があります。本格的なセラミック治療をご希望の場合は自費診療となり、費用は医院によって異なりますが、1本あたり数万円〜十数万円程度が一般的です。
Q.セラミックはどのくらい長持ちしますか?
A.適切なメンテナンスを行えば、10年以上使用できることが多いです。
セラミック自体は変色や劣化がほとんどありませんが、装着している歯が虫歯や歯周病になると、再治療が必要になります。長持ちさせるためには、毎日の丁寧なブラッシング、定期的な歯科検診、歯ぎしりがある場合はナイトガードの使用などが重要です。
Q.金属アレルギーがあってもセラミック治療は受けられますか?
A.はい、むしろセラミック治療が推奨されます。
オールセラミックは金属を一切使用しないため、金属アレルギーの心配がありません。すでに口の中に金属の詰め物や被せ物があり、金属アレルギーの症状(口内炎、舌の痛み、皮膚の発疹など)が出ている場合は、それらをセラミックに交換することで症状が改善する可能性があります。
Q.セラミック治療は痛みを伴いますか?
A.歯を削る際には局所麻酔を使用するため、治療中の痛みはほとんどありません。
麻酔が切れた後に多少の違和感や軽い痛みを感じることがありますが、通常は数日で治まります。神経が残っている歯の場合、削る量が多いと一時的に知覚過敏の症状が出ることがありますが、これも徐々に改善することが一般的です。
Q.セラミックを装着した後、食事制限はありますか?
A.特別な食事制限は基本的にありませんが、極端に硬い物(氷、硬いナッツ類、骨付き肉の骨を噛むなど)は避けた方が安全です。
セラミックは強度がありますが、陶器と同様に強い衝撃には弱い面があります。日常的な食事であれば問題なく楽しめますので、過度に心配する必要はありません。装着直後は接着剤が完全に硬化するまで、数時間は食事を控えるよう指示される場合があります。

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